フィリピン幸福論
第 1回 踊り狂う人々 前編
第 2回 踊り狂う人々 後編
第 3回 日本人がフィリピン
     に填まる理由
第 4回 戦士と乙女
第 5回 異形に寛容な
     フィリピン
第 6回 貧しいがゆえ
     豊かなるフィリピン
第 7回 激安暮しの幸福
第 8回 子供が溢れる
第 9回 MLによる新しい
     日本人ネットワーク
第10回 「お客さん」をやっ
      ていませんか?
第11回 マニラで遊べ!
第12回 Pの悲劇
フィリピン恋愛論
第 1回 シングルマザーに
     愛を・・・。
第 2回 駐在員 VS
     カラオケGIRLS
第 3回 Japan meets
     Philippines!
第 4回 日本女性 VS
     フィリピーナ
第 5回 健気なり!
     フィリピーナ!
第 6回 確信犯的悪女系
     フィリピーナ
第 7回 眼力を磨け!1
第 8回 眼力を磨け!2
第 9回 省令改正に関する
     緊急提言!
第10回 眼力を磨け!3
第11回 眼力を磨け!4
第12回 連載の総まとめ
  
著者 :     三四郎
撮影 :Shigeru Ueki
第4回 〜日本女性 VS フィリピーナ〜
 10月に入るとフィリピンはそろそろ雨季も終わり、過ごしやすい乾季が近づいてくる。そして10月末のハロウィンが終わると、一気にクリスマス一色になりこの国が一番活気づく季節になる。このパライソマガジンも読者の皆さんのご愛読を賜り、マカティの某書店ではよく売れているとの話がU編集長からあった。もしかして駐在員の奥様方にも読者がいらっしゃるのだろうか?今月のフィリピン恋愛論は、日本人女性とフィリピーナの比較論である。奥様方!心してお読みいただきたい。

 日本人女性とフィリピーナの一番大きな違いはなんだろうか?三四郎の答えは、男性への「愛」に対する表現の違い、スタンスの違いである。例えばフィリピーナは嫉妬深いとよく言われる。旦那に浮気の気配をホンの少しでも感じようものなら、柳眉を逆立てて浮気阻止のために奔走する。そこには恥も外聞も無く、口角泡を飛ばし、あらゆる手を使ってもその浮気を潰しにかかったり、相手の女性に直談判してうちの旦那に手を出すなとやる場合もある。

 カラオケなど女性のいるお店に行くだけでも重大な浮気であり、嫉妬の対象となる。旦那の方も常にフィリピーナの嫁さんの影に怯え、かつて経験した修羅場を思い出すだけで微かな浮気心も萎えてしまう。その様子は鎖に繋がれっぱなしの飼い犬と同じだ。鎖が外れていても何かの間違いではないかと逃げもせず、犬小屋の周りでうろうろして飼い主の顔色を窺っている。

 日本人女性はどうであろうか?民族は違えども同じ女性。個人差はあるだろうが、心のうちに自然と沸き起こる嫉妬の感情は彼女たちにもあるはずだ。しかし、日本人女性がちゃんちゃんばらばら派手に旦那とやりあったというような話はあまり聞いたことがない。普通、日本人夫婦の場合は旦那が少しくらい遊んでも、すべて奥さんの掌の上のことであり、必ず家庭に戻ってくるという暗黙の了解がある。

 あるいは世間体を気にして、感情を表に出すことが恥ずかしいという文化がある。嫉妬心は心に収め、夫婦間の問題がよほど悪化するまでは周りの人にはわからない。気付いた時には修復不可能であるが、それでも家庭内離婚などで凌ごうとする。そこまで世間の目を考える。

 では、旦那に対する「愛」の大きさは日本人女性とフィリピーナの間に差がないと仮定した上で、どうしてフィリピーナがあそこまで嫉妬の感情を表に出すのだろうかと考えてみる。

 経験者によると、タイの女性は感情を内に秘め、外に露わにするフィリピーナとは対照的だという。タイと日本の文化の共通点は仏教。日本人は仏教に加え儒教の影響もある。フィリピーナはカソリックに加え、ラテンの血。その条件はフランス、スペイン、イタリア、南米と同じだ。ラテンの国々というのは色恋沙汰に世間の目が寛容である。フランスの故ミッテラン大統領に隠し子がいたというのは公然の事実であるし、エストラダ前大統領は堂々と愛人と子供の存在をひけらかした。宇野元首相のように愛人が出てくると政治生命が絶たれる日本とは違うのだ。

   血と文化の違い。それだけだろうか?   三四郎が考えるに・・・、フィリピーナの「愛」には生活がかかっているのである。彼女達にとって、旦那の浮気は生死に関わる問題なのだ。

 結婚しました。子供が出来ました。そしたら旦那が浮気したので子供を連れて実家に帰りました・・・では彼女達の人生は終わってしまうのだ。フィリピンには生活保護もない。離婚も難しいので、再婚も出来ない。子供を抱えて実家に帰っても、おいそれと仕事は見つからない。日本人の旦那というのは、生命線であり、金蔓であり、今まで張ってきた見栄の根源なのである。その生命線を失えば、元のド貧乏に戻り、一族の厄介になり、また水商売でも何でも働かなければならなくなるのだ。

 自分の命、子供の命、ヘタしたら一族の命もかかっている。日本人の旦那はフィリピーナの嫁さんの「固有の財産」であり、「所有物」であり、「権利」なのだ。だから、浮気の芽を潰すのは一刻も早く、そして徹底的にやらなければならない。所有物である旦那を盗られるなど断じてあってはならないことで、浮気潰しは単なる痴話げんかではなく、生活防衛戦争であり、絶対に負けられない戦いなのだ。

 しかし、歴史的にフィリピン人男性はそのようなフィリピーナの眼を掻い潜って浮気をしてきた。フィリピーナは痛い目に遭ってきた。それ故、「男は浮気をするものである。絶対に彼らの言葉を信用してはいけない」という教えが母から娘へと代々「教訓」として言い伝えられてきた。マゼランがフィリピンを発見するよりも昔から・・・。フィリピーナの嫉妬は、日本人の「武士道」と並ぶほどの歴史があるのだ。

 これをお読みの奥様方!どうでしょうか?ご感想及びご反論をnbf04352@nifty.comまでお寄せください。日本人女性の旦那操縦術などご教授いただければ、これを機に三四郎もハッキリと目を覚まし、フィリピーナから足を洗うかもしれませぬ・・・。



第5回 〜健気なり! フィリピーナ!〜 に続く!

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著者プロフィール

著者名 三四郎

フィリピン社会事情MLを運営。
マニラ現地サービスを展開中!
マニラ在住8年。

E-MAIL: nbf04352@nifty.com
URL: www.pmlc.net


撮影者 小俣慎也 (通称Vito Cruz)


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