フィリピン幸福論
第 1回 踊り狂う人々 前編
第 2回 踊り狂う人々 後編
第 3回 日本人がフィリピン
     に填まる理由
第 4回 戦士と乙女
第 5回 異形に寛容な
     フィリピン
第 6回 貧しいがゆえ
     豊かなるフィリピン
第 7回 激安暮しの幸福
第 8回 子供が溢れる
第 9回 MLによる新しい
     日本人ネットワーク
第10回 「お客さん」をやっ
      ていませんか?
第11回 マニラで遊べ!
第12回 Pの悲劇
フィリピン恋愛論
第 1回 シングルマザーに
     愛を・・・。
第 2回 駐在員 VS
     カラオケGIRLS
第 3回 Japan meets
     Philippines!
第 4回 日本女性 VS
     フィリピーナ
第 5回 健気なり!
     フィリピーナ!
第 6回 確信犯的悪女系
     フィリピーナ
第 7回 眼力を磨け!1
第 8回 眼力を磨け!2
第 9回 省令改正に関する
     緊急提言!
第10回 眼力を磨け!3
第11回 眼力を磨け!4
第12回 連載の総まとめ
  
著者 :   三四郎
撮影 : Vito Cruz
第9回 〜MLによる新しい日本人ネットワーク〜
毎月私事ばかり書き恐縮なのだが、私はインターネット上でフィリピンに関するメーリングリストを運営している。メーリングリスト(以下、MLと省略)とは、インターネットのメールを使い、沢山の方々と色々な話題に渡って話し合う場である。私の運営しているMLは日本語でフィリピンに関して議論や雑談をするもので、開始してからもう2年4ヶ月になる。

 主だったMLをざっと挙げると、フィリピン危険情報ML、フィリピン求人求職情報ML、タガログ語塾ML、日比結婚ML、リタイアメント@マニラ・フィリピンML、日比歴史発掘MLなどがある。最初のMLを開設したのは私なのだが、フィリピンに関する話題が細分化され、MLの総数が増えたので途中から手におえなくなり、現在は読者有志の皆さんに運営を分担していただいている。

 中にはカビテML、ヌエバエシハMLやパラニャーケMLなど地域専門MLもあり、それぞれのML付属画像掲示板などをあわせると全部でいくつの場があるのか数え切れない。延べ読者数は3000人を超え、毎日数十のメールがあり、すべてに目を通すことも出来なくなってしまった。いつもどこかのMLで「フィリピン話」の花が咲き、飽きることなく1年365日、1日24時間ノンストップで盛り上がっている。これもすべて熱心な読者および分担して運営してもらっている有志の皆さんのおかげである。

 では三四郎は何をしているか? 私はマニラに陣取り、毎週のように日本から訪れる読者の皆さんとお会いして、オフライン・ミーティング(以下、オフミと省略)と呼ばれる飲み会のホストをしている。ネット上での文字面だけの関係から、実際に顔の見える信頼関係を構築しようと奮闘している。

 昨年は一年間で約100人の方とお会いし、フィリピンに関係するすべての日本人が安心してフィリピン現地を楽しめるようにと、色々な情報を集めたり伝えたりしている。例えば、移住するにはどこの地区が安全なのか? フィリピン人奥さんの家族との付き合い方、フィリピンでの身の守り方、物の相場・・・。新しくフィリピンにやってきた方を受け入れ、初心者がスタート時期に大失敗をしてフィリピンが嫌になってしまわないように、いろいろな助け舟を出す。フィリピン在住十数年というようなベテランを初心者にご紹介して、生活の細かいところまで簡単に助言をいただけるようなネットワークを作っている。

 さて、また前置きが長くなってしまったが、今月のフィリピンの幸福とは、フィリピン好きの日本人はとんでもなく面白い!ということである。100人にも及ぶ不特定多数のML読者の方々のお相手をしている三四郎がいうのだから間違いはない。現在の私の一番の楽しみは、沢山のフィリピン好きの日本人と知り合い、付き合うことである。

 まずネット上で顔も本名も知らずにメールで意見をやり取りする。だんだん相手のバックグランドやフィリピンにはまっている理由などがメールから読み取れてくる。そして、マニラで実際に顔を合わせる時がくる。そのときには初めて会ったような気がせず、昔からの古い友人のような気分になる。彼らと明け方まで「フィリピン話」に没頭する。 彼らの多くは年に何回か、休みが取れるとフィリピンに来るリピーターである。

 ある方は日本で忙しく働いて溜まったストレスを、フィリピンで発散する。発散すると言っても、ホテルの喫茶店で文庫本を読み、街行く人を眺め、おいしい料理を食べるだけである。彼にとっては異国で異邦人になって頭のスイッチをオフにしないとストレスが解消しないのであろう。私は晩御飯をご一緒し、夜中まで彼の日本での話を聞き、私のフィリピン話をする。お互い面白く、いろいろな発見があり、有意義な時間が過ごせる。

 また、別の方はフィリピーナと結婚を決められ、結婚式、結婚後のビザ手続きをするために何回もフィリピンにやって来られる。新しい奥さんをいとおしむ気持ちが伝わってくるし、日本での結婚生活を想定してフィリピン人の習慣を学んだり、一生懸命に奥さんの家族といい関係を築こうと努力されている。そのような方に、現地に常時住んでいる日本人としてのアドバイスを折を見計らって楽しい会話の中に織り交ぜる。

 それから、最近はフィリピンで働きたいという若い方も多い。30歳、40歳代の方が日本で出会ったフィリピーナの彼女や奥さんをきっかけにフィリピンに転職移住をしてしまうというケースである。私はフィリピン求人求職MLという800人も読者がいるMLを運営していることから、彼らに就職のお世話をしたりする。なかなかよい就職先がないことが悩みなのだが、昨年一年間で延べ10件の就職先をご紹介している。もちろん、ただのボランティアである。

 そして、最後に老後の移住を考えてフィリピンを訪れる方々もいる。彼らはご自分のリタイアだけでなく、老いた両親を介護されている場合もある。空港に近く、マカティにも便がよいパラニャーケ近辺に徐々に彼ら移住組が集まりつつある。日本人業者の運営する老人ホームに親を入れるのでなく、自分達で一軒家を借り、メイドを雇い、マーケットに食材を買いに行って、地に足のついた生活をする。医療も自分達で掛かり付けの病院を開拓し、フィリピン人医師との個人的な信頼関係を構築していく。3年も無事に過ごせれば、もう一安心。日本に比べて格段にリーズナブルで快適な生活が楽しめる。

 これらの皆さんを、私がホストを務め毎月のように開かれる「オフミ」という飲み会に招く。彼らは気の合った友人を見つけ、また新しいネットワークが出来ていく。無事に巣立った初心者の方は、今まで教わったことに感謝し、その分を返そうとフィリピン各地から新しい情報をフィードバックしてくれる。その最新情報をまた新しくフィリピンに飛び込んできた日本人に伝える。これが私の役割であり、MLを中心とした新しいフィリピンの日本人ネットワークなのだ。

第10回 〜いつまでも「お客さん」をやっていませんか?〜に続く!

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著者プロフィール

著者名 三四郎

フィリピン社会事情MLを運営。
マニラ現地サービスを展開中!
マニラ在住8年。

E-MAIL: nbf04352@nifty.com
URL: www.pmlc.net


撮影者 小俣慎也 (通称Vito Cruz)


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